雇用・年金


ワーキングプア・雇用差別をなくそう
現在、雇用者のうち、4分の1は年収200万円以下のワーキングプア層です。賃金や労働条件が低く抑えられた労働者派遣や非正社員が増大したことが原因です。労働契約法改正は、有期雇用を一時的・臨時的業務等、合理的な理由がある場合のみに限定する内容が与党の反対で見送られてしまいました。反復更新している労働者に対しても「5年後に」無期契約への転換の申し出権を与えるに留まっています。クーリング期間6か月で有期雇用契約がリセットされ、無期雇用への申し出ができないこと、雇い止めの誘発を抑制できないことなど問題があります。
また労働者派遣法の改正は、社民党が連立政権を離脱した後、「登録型派遣の原則禁止」 や「製造業務派遣の原則禁止」を削除し、「日雇い派遣の原則禁止」を一部の例外を 除き容認するなど、骨抜きの修正が行われ成立しました。派遣労働者の労働者保護を実効的なものとするために、改正法の運用を注視し、さらなる改善に取り組みます。
社民党は以下のような政策で非正規労働の拡大に歯止めをかけ、正規労働へ雇用の転換を進めるとともに、長時間・過密労働の解消と新規雇用の創出、ワークシェアリングを同時にすすめます。

・雇用契約は、直接雇用、期限の定めのない雇用であることを原則とします。パート 労働法、労働契約法、労働者派遣法を改正して、パート・契約社員・非常勤・嘱託・ 派遣など無限定に拡大しつづける有期契約(非正規)労働に歯止めをかけます。

・労働者派遣法について、登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止、専門26業務の見直し、派遣先責任の強化、反復契約限度5年を短縮して無期転換するしくみを作るなど、残された課題に、労働者保護の観点から取り組みます。

・解雇しやすい「限定正社員」、野放図な派遣制度の拡大、残業代を払わない労働時間適用除外制度など、働く人にとって不利な制度の導入を許しません。

・サービス残業やパワハラ、退職強要など、違法行為をはたらく企業の取り締まりを強化するとともに、企業名を公表します。

・EU諸国にならい「有期契約労働者であることを理由とした合理的な理由のない差別の禁止」を規定し、有期契約労働と正規労働者との均等待遇をすすめます。

・労働の価値評価を正当に行うために、客観的な職務評価システムを確立し、同一価値労働同一賃金の原則で均等待遇をすすめます。

・最低賃金が生活保護水準を下回る都道府県の最低賃金を早急に引き上げます。

・中小企業への支援を拡充し、十分に配慮をしつつ、最低賃金を引き上げ時給1000円を目指します。ワーキングプアをなくします。

・残業の上限を法律で定めるとともに、時間外勤務手当の割増率を現行の25%から50%に引き上げて、長時間労働、サービス残業(時間外割増賃金を支払わない違法労働)を規制します。

・勤務終了後、次の勤務開始までに最低 11 時間の労働解放時間を保障する「勤務間インターバル制度」の導入を検討します。

・増加する精神疾患、過労死、過労自殺の防止に向け、国が実態調査するとともに、「過労死防止基本法」を制定します。

・労働時間規制の適用から労働者を外し、残業代を不払いとする日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(自律的労働時間制度)の導入を許しません。

・整理解雇に関する4要件(整理解雇の必要性、整理解雇を回避するための努力、整理解雇の対象労働者の選定基準の合理性、対象労働者・労働組合への説明・協議)を雇用者に厳守させます。4要件に、雇用創出型のワークシェアリング(時間外労働・休日労働を削減し雇用を生み出して分け合う)を新要件として追加します。

・求職者支援制度(雇用保険を受給できない人等に職業訓練と生活支援費を支給)と職業訓練機能の強化を高め雇用のセーフティネットを強めます。職や住まいを失った人たちに対する総合的な相談と支援(就労・生活・住宅・緊急貸付・多重債務、職業訓練など)を、ハローワークにおいてワンストップで行う仕組みを検討し実現をめざします。

・男女雇用機会均等法の改正に取り組み、目的、基本理念に「仕事と生活の調和」の平等保障を明記します。賃金を対象事項に含み、「間接差別禁止規定」を例示列挙し、「雇用管理区分」を超えた男女差別も禁止します。

・改正育児・介護休業法の全面施行(2012年7月、中小企業も対象)を踏まえ、育児短時間勤務制度、所定外労働の制限、介護休暇の周知など、育児・介護と就業の両立について環境整備をすすめます。

・有期雇用労働者の育児休業取得は極めて低く、「産休切り」「育休切り」が増えています。育児介護休業法の有期雇用労働者の取得要件を削除し、希望者が仕事を継続できる環境を整備します。

・男女差別是正のための実効ある法整備、迅速に差別を改善するための相談窓口、救済機関の拡充、企業に対する指導の強化などの措置を講じます。積極的な男女平等実現策(教育研修や透明公正な処遇制度の構築、育児・介護支援、過去差別を受けてきた人へのサポート等)を講じ、差別をなくします。

・企業へのポジティブアクション(例えば、行動計画の策定や入札に際して行動計画策定の有無を考慮要素とする等)を義務づけ、女性が能力を生かせる環境づくりを行います。

・セクシュアルハラスメント(性的いやがらせ)、パワーハラスメント(権力や地位を利用したいやがらせ)の防止、禁止に取り組みます。
男女がともに仕事と家族的責任の両立がはかれるようワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進します。

・ILO雇用・職業についての差別待遇に関する条約(111号)、パートタイム労働条約(175号)、使用者の発意による雇用の終了に関する条約(158号)、母性保護条約(183号)の批准を推進します。

・シルバー人材センターなどの機能強化を図り、技術・技能、専門能力、職業などの登録制度や職業斡旋・支援を行う公共のシステムを拡充します。収入の確保、生きがい・社会参加、就労、知識・技能・能力・経験の活用、健康の保持など、高齢者と地域社会のニーズを汲み上げ、仕事を創出するとともに、地域コミュニティを育てます。希望する者全員が65歳まで働き続けられるよう改正高年齢者雇用安定法の運用を円滑にすすめます。

・国や自治体の臨時・非常勤職員の法的位置づけの明確化や待遇改善を図るとともに、パート労働法、労働者契約法の適用除外となっている公務労働についても、同法を適用できるよう法制度を見直します。また、「短時間公務員制度」を導入するとともに、諸手当の支給を可能にする地方自治法改正など法整備や運用改善をすすめます。

・事業譲渡や経営形態の変更、委託化、民営化による事業移転変更の際に、同じ雇用条件で継続して雇用されるようにします。

・ILO94号条約(公契約における労働条項)を批准し、公契約における公正取引の確保と公正労働基準の法的確立をはかるため、公契約基本法・公契約条例を制定します。

・「人間らしく働き続けたい」という願いをもつ人びとが集い、協同で出資して仕事をつくり出し、みんなで経営に参画し、人と地域に役立つよい仕事に取り組む協同組合を応援します。協同労働を推進するための協同組合法の制定を目指します。

社民党のパートタイム政策
国際労働機関 ILOのパートタイム労働法をご存知ですか?
ILO175号条約(1994年)では、すべての短時間労働者を対象とし、
1)パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、
2)労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである、
などの原則が定められていますが、日本はこの批准を棄権したため、勧告を受けています。
EUはパートタイム労働に関する均等待遇指令(1997年)でも、賃金・労働条件などの処遇は、類似の仕事のフルタイム労働者に対し労働時間比例となっています。このように、パートタイム労働を積極的に位置づけ、均等待遇のルールを社会的に確立することは、国際的な流れとなっています。
日本では非正規労働者への社会保険制度適用は週30時間から週20時間に拡大されましたが、若者が2カ所以上の職場に勤務せざるを得ないような制度悪用が懸念されます。このため社民党はパートタイム労働に関して、以下の政策を提案します。

・「パートタイム等労働者と通常の労働者との均等待遇の確保等に関する法律」をつくります(現行の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を改正して実現)。法案には、賃金その他、労働条件に関する通常の労働者との差別的取り扱いを禁止する、均等処遇を前提に、ライフスタイルにあわせてフルタイム、パートタイム労働の双方向の転換を可能とする、違反した事業主が厚生労働相の勧告に従わなかった場合はその旨を公表する、などを盛り込みます。

・ILOの175号パート労働条約を早期に批准します(ILO175号パート労働条約:パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである)。

・すべてのパート労働者をパート労働法の差別的取り扱い禁止の対象者とし、パート労働者の権利を強化します。また実効性ある正社員転換制度を組み入れます。

若者の就職をサポートしよう
「公的な機関が知恵を絞って、登録料は安くというかリーズナブルな金額にして、いろんな企業に若者がアクセスできるようにすべきではないでしょうか。二万社の大企業が登録されている就職サイトに、若者たちが三十万人ぐらいシートを何十回、何百回と出して応募していくと。これはどう考えてもミスマッチ。今インターネット上で若者が就職を探す時代ですので、そこの工夫を、是非公的機関として、厚労省の出番でやっていただくよう申上げます」福島議員2012年の国会厚生労働委員会での質疑です。若者の就職をサポートし、若者の声が政治に生かされる社会を目指します。
社民党の若者アクション政策はこちら

年金制度一元化
国民年金保険料の納付率は約60%と低く、その背景には収入の少ない非正社員の増加や年金制度への不信感などがあるとみられます。未納・未加入は、障害者年金の受給権が得られない、将来の低年金、無年金問題などに直結し、本人にとって非常に不利です。年金保険料免除制度の周知徹底を図るとともに、徴収業務に十分な数の職員を配置するなど、国民年金徴収率の向上を図ります。

・年金制度をはじめ、社会保険制度が、自分たちの生活のセーフティネットであり、社会の支え合いの制度であることを中学生、高校生など若い世代が、しっかりと認識できるよう学校教育、社会教育を充実します。

・年金記録を政府と国民が共有し、毎年双方向でチェックするしくみを徹底します。毎年誕生日月に送付する「ねんきん定期便」に、前年の年金加入記録の他、年金見込額、過去の加入記録、積立金の運用成績、年金制度運営のための行政コスト・間接コストなどを掲載します。
保険料の履歴や将来の受け取り見込額を自分で確認できる「マイ年金手帳」をつくります。

・年金制度を一元化し、転職や結婚などで移動する必要のない、公平でわかりやすい個人単位の制度にします。新しい年金制度は、自分の賃金が年金受給に反映される「所得比例年金」(財源は保険料)と、社会が支え合う「基礎的暮らし年金」(財源は税金)の組み合わせです。
「所得比例年金」は、だれもが無理なく支払える所得比例の保険料(給与所得者は労使折半、自営業者らは全額負担)とし、納付した保険料に見合った年金額にします。

・「基礎的暮らし年金」は無年金や低年金を防止する最低所得保障の機能を果たします。全額税財源による社会連帯のセーフティネットです。「所得比例年金」の受給額によって額は異なり、所得比例年金がゼロの単身者で月8万円を目指します。国民の合意形成を早急に行うべく国会で議論を開始し、高齢者が生活できる年金額が手元に残るように、医療・介護の自己負担(保険料と利用料)や税制のあり方を総合的に見直します。

・「所得比例年金」の保険料は税と一体徴収します。総合課税化を推進する「公平番号制度」を早期に導入し、所得を正確に捕捉して不正を防止します。

2013年参院選公約より

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