住宅・町づくり・国土交通


日本の住宅はウサギ小屋と揶揄されて久しく、経済成長を遂げてからも住環境の改善は遅々として進みません。人手不足の建設産業を公共のハコモノ建設に偏らせず、地域住宅産業の振興を図る政策が必要です。
また自然災害に多く見舞われるこの国には、自然を畏れ共存する知恵がありました。功利主義に傾いた現代こそ、人命優先の町づくり政策に正さなければなりません。社民党は町づくり、防災政策、交通政策をはじめとする地域計画に地域の自治を取り戻します。

住宅

・すべての人々にとって「健康で文化的な生活」の基盤である、住生活の向上と居住保障を確立するため、「住宅基本法」を制定します。

・地域住宅産業は環境にやさしく地域の雇用や経済など裾野が広い効果を持っています。
省エネリフォームやバリアフリーリフォームに対する補助制度を充実させ、地域住宅産業の振興と雇用創出を行います。

・建設技能者の育成をはかるため、職業関連助成金の確保、業界全体で建設技能者養成に取り組むための建設技能者養成基金(仮称)を創設します。

・日本の伝統的な民家建築は、自然と共生し、住む人も健康に暮らせる、とても優れたエコロジー建築であり、伝統構法技術を振興します。

・建築の質を高め、社会をゆたかにするため、建築物を社会資産とみなし、建築主・所有者の財産権と周辺の環境権との調整の原則を示すような「建築基本法」の制定を目指します。

・自治体の「空き家バンク」を整備するなど、中古住宅のデータベースを整備するとともに、古い空き家や築年数の古い集合住宅のリフォームで家賃負担が軽い住宅を再供給します。

・公共住宅の敷地や施設を有効活用し、医療施設、介護施設、子育て支援施設等の整備促進をはかるとともに、オープンスペースや緑地、子どもの遊び場、地域の防災拠点など地域社会の貴重な環境資源としても活用します。

・公営住宅の供給拡大だけではなく、空き家等の既存の住宅ストックを活用した借り上げ住宅等、自治体の住生活におけるコーディネート機能を強化します。

・雇用促進住宅の廃止をやめ、若者の雇用と住まいのために積極的に活用します。

・公的住宅政策を抜本的に強化し、公営住宅、雇用促進住宅、UR(公団)賃貸住宅、住宅金融支援機構等について、これまでの市場化志向を全面的に改め、「安心して住みつづけられる公団住宅」「みんなの心通い合う地域コミュニティづくり」をめざします。

・生活保護制度の住宅扶助は廃止し、家賃補助等による「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化します。

・居住性が悪く安全性に大きな問題を抱えている、いわゆる「脱法ハウス」をはじめ、不安定な居所に住まざるをえない人についての緊急調査と現入居者の住宅確保など適切な対応を行います。

・法的にも極めて不安定な位置にある「ゲストハウス、シェアハウス」について、法令上の全般的な整備を早急に行います。

・家賃の税制上の控除制度を検討します。

・各地における「居住支援協議会」の設置を進めるとともに、「公的な保証人制度」や「公的家賃債権保証制度」を創設します。

・高齢者施設も「住まい」と位置づけ、ユニットケアを基本とし、個人の尊厳を重視した良質な居住環境を確保するとともに、プライバシーの確保が図られるよう整備します。

・子どもを育てる世代、バリアフリーの住宅を望む高齢者世代など、人生の節目にあわせた住み替えを柔軟に行えるようにしていきます。

災害に強いまちづくり

・住宅の耐震強化改修への助成を強化します。

・大規模災害に備えた業務継続計画や自治体間の支援体制強化、省庁の枠を超えた災害弱者に優しいまちづくりの推進、消防力の充実などで、次の被災者を生まない防災体制を確立します。

・全国の公共施設、道路・鉄道・橋梁・トンネル・ダム・堤防・港湾岸壁・上下水道管など社会インフラの老朽化の実態を早急に調査・把握し、更新・改修・耐震対策を進め、こうした災害に強い国土づくりを地域活性化や新たな雇用創出にもつなげます。

・消防機関を地域に暮らす住民の安心の拠り所として、災害防止から、即時対応、被災者救済まで、総合的に情報やサ-ビスを提供する「地域安全安心センター」を目指していきます。

・消防用ヘリコプターの配置の増強や緊急消防援助隊の装備資機材の充実を進めます。消防車と救急車の機能を併せ持った「消救車」の導入を進めます。

・市民の潜在的な防災能力を引き出すための防災教育、地域におけるボランティア組織の育成など、「災害に強い人づくり」といったソフト面の整備を推進します。消防職員の団結権を回復します。

・巨大地震・津波の被害想定も踏まえ、地域防災計画や防災マップを抜本的に見直すとともに、災害時の情報システムの整備、地震・津波・台風・集中豪雨・竜巻・火山活動などの観測・研究体制の強化を進めます。

国土交通
・移動の確保は、生活を支える大事な公共サービスであり、社会生活の基盤です。「交通基本法」を早期に制定するとともに、地域公共交通確保維持改善事業を改善・充実し、地方の生活バス路線や地方ローカル鉄道に対する財政支援、フェリーや離島航路、離島への航空路線への支援策を強化します。

・安全は全ての基本であり、「運輸安全基本法」を制定します。交通・運輸産業に従事する労働者の労働時間等の改善のための基準(告示)を法制化するなど、実効あるものにします。

・「国際海陸一貫輸送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案」の早期成立をはかります。

・行き過ぎた規制緩和の影響を受けている、タクシー産業の健全化・活性化、タクシー運転手の労働条件の改善を目指し、「タクシー事業法案」の成立に努力します。

・国とJRによる抜本的な支援制度を確立し、貨物輸送や地域の重要な足である並行在来線の維持・確保に努力します。

・貨物鉄道輸送や内航海運・カーフェリーへのモーダルシフトを推進し、地球環境に優しい輸送モードを実現します。

・高速道路料金全国共通距離制及び本四架橋料金引き下げの実施に当たっては、フェリーや旅客船航路、鉄道輸送等に影響がないような措置を求めます。二輪車の高速料金の引き下げを検討します。

・円安に伴う交通機関の燃油高騰対策を実施します。

・鉄道駅やバス、旅客船、空港のターミナルのユニバーサルデザイン化を進めます。バリアフリー車両開発の財政支援、可動式ホーム柵やホームドアの設置、エスカレーターへの点字誘導ブロックの敷設を推進します。音声や接触・発光ダイオード方式による情報提供装置の普及、案内表示の整備、人的サポートを強化します。

・ノンステップバスや介護タクシー、移動制約者への交通サービスを促進します。シルバーパスの充実、障がい者割引に対する公費負担制度の創設等を進めます。

・高齢者や障がい者をはじめ手助けが必要な人が気兼ねなく旅行を楽しめる、「ユニバーサルツーリズム」を推進します。

・商業施設だけでなく、公共施設や住宅、病院などを1か所に集中させるなど、まちづくりにおいて、環境負荷が小さくすべての人が快適に暮らすことができる、「エコ・コンパクトシティ」づくりを推進し、高齢者も含め、多くの人が住みやすい都市にします。

・「トランジットモール」など、公共交通をまちづくりにいかします。

・自動車の都心部乗り入れや中心市街地の自動車の総量規制、パーク&ライド、公共交通の利用拡大などで環境にやさしい交通システムをつくります。

・都市計画やまちづくりの分権化をすすめます。

・歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、またスクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実をはかっていきます。横断歩道のエスコート・ゾーンや音響型信号機の整備を推進します。踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置をすすめます。

・パリの公共の貸し出し自転車「ベリブ」などの試みも踏まえて、公共の自転車貸し出しを支援します。自転車道の整備、自転車通行帯の設置を推進します。

・ドライブレコーダーの義務化をすすめていくとともに、飲酒した時に自動車を発進させないインターロック装置を普及させます。交通事故被害者のケアを充実するとともに、事故調書の早期開示を検討します。

・「買い物難民」問題の解決に向け、スーパーやコンビニなどの流通業者、地元商店街、自治体、バス事業者や鉄道事業者、郵便局や宅配業者、農協や生協、商工会や町内会、NPOなど、多様な主体の連携を進めます。

・高齢者でも活用しやすい宅配サービスや、山間部や福祉施設への移動販売、買い物代行サービス、地域の高齢者を集める送迎サービスなどを広げます。

・店舗の出店や撤退により地域住民の生活に大きな影響を及ぼす企業がその社会的な責任を認識することを促し、流通業者には、自治体や商店街などとの連携や、店舗撤退時の後継業者確保などに努力するよう求めます。

・海運を中心とした総合的な施策を推進するため、「海運基本法」を制定するとともに、船内における旅客の迷惑行為等防止のための法整備を進めます。

・国際貿易に従事する船員に対する政策減税の導入、外国基地に1年以上出漁する漁船員に対する住民税の還付制度の復活、海上のデジタル・ディバイドの解消などに取り組みます。

・手動式救命造水器の救命艇、救命いかだへの義務付けを検討します。

・港湾の公共性と安全性を維持するため、港湾運送料金を認可制に戻すと同時に、港湾労働法を全港・全職種の労働者に適用させます。

・離島は国土の保全等において重要な役割を有しており、地理的及び自然的特性をいかした振興をはかります。離島に暮らす人々の生活と雇用を守り、また島民が定住できる環境を整えていきます。特にヨーロッパでは離島でのガソリン税や消費税が減免されていることから、日本でもまずガソリン税の減免を行うようにします。

・離島などの海の安全を守り、漁業権や海洋権益を維持するため、海上保安庁を体制強化します。海上保安庁の老朽・旧式化した巡視船艇・航空機の緊急代替整備を推進し、被害制御・長期行動能力等を備えたヘリ2機搭載型「しきしま級巡視船」の3隻体制(現有1隻)をめざします。これら官公需船の整備による造船産業支援、地域活性化につなげます。

・領海及び排他的経済水域における海洋調査を進めるとともに、海洋情報の一元化を図ります。

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